オリジナリティーとは?

前回の記事のおわりに、個々のフォトグラファーのオリジナリティーの必要性について触れましたが、オリジナリティーを持つことは、芸術や学問からビジネスの分野まであらゆる分野で求められています。

オリジナリティー(Originality)とは英英辞典をひくと「something completely new(まったく新しいもの)」や「different from anything that anyone has thought of before(誰かがこれまで考えてきたこととは異なっていること)」と出てきます。要するにオリジナリティーを持つということは、「他とは異なる自分にしかないもの」を持つことだいえるでしょう。

もっと卑近な例をあげれば、(就職の面接などで)「あなたが人よりも優れていることはなんですか?」と聞かれるとき、自身のオリジナリティーが問われているのです。

オリジナリティーとは今の時代、すべての人が持つことを期待されるものになっているようです。もちろんフォトグラファーも例外ではありません。

では、具体的にはストックフォト撮影においてフォトグラファーはどのようにオリジナリティーを示すことができるのでしょうか。

ストックフォトの撮影の場合、おおよそフォトグラファーのオリジナリティーを示すことができる要素には以下のようなものがあると考えられます。

  • ヴィジュアルに直接訴えかける表現手法のオリジナリティー:主にライティングや撮影後のフォトショップによるポストプロダクションによって、トーンや色調、テクスチャーなどヴィジュアルに直接かかわる部分に独自の特徴をもたせることが可能です。ライティングの角度やアクセサリー類の使用において他の人とどのように変化をつけるか、あるいはフォトショップでだれも知らない技法を開発するなどによって、オリジナルなヴィジュアル表現が可能になるでしょう。

  • 撮影機材そのものに起因するオリジナリティー:例えば、ドローン撮影、水中撮影、星景撮影、カメラやレンズを自分で改造して超マクロや超望遠撮影をする場合など、機材およびその使用に伴う技術において他人とは異なる一定のオリジナリティーを確保できるでしょう。

  • 資本のかけ方のオリジナリティー:一枚の写真にどれだけ資金を投資するかという資金力に関するオリジナリティーです。例えば、ストックフォトで一度に10人のモデルさんを登場させる撮影や、南極や北極やアマゾンなどへ遠征して写真を撮る場合など、資本のかけ方が著しく他のカメラマンよりも多い場合、他の追随を許さない写真を撮ることも可能です。

  • 被写体のオリジナリティー:例えば、ストックフォトの人物撮影で、被写体となるモデルさんが日常の中で撮影の機会が少なければ少ないほど、写真のオリジナリティーは高くなるでしょう。アスリートや職人、大学教授、CEO、LGBTの人々などに登場してもらえる場合です。

  • 撮影をオーガナイズする能力:一枚一枚の写真の見た目には表れにくいかもしれませんが、短期間のうちに撮影企画をいくつも作り、それを実行する能力です。モデルさんはじめ撮影にかかわる人たちにストレスなく動いてもらうための事務能力やコミュニケーション能力もストックフォトの撮影にとってはオリジナリティーを構成する重要な要素となり得るでしょう。

  • 画面の構成力や感性のオリジナリティー:感性レベルを含んだ画面の構成力や色彩感覚などにおけるオリジナリティーです。幼少期からの環境等によって大きく影響を受けるともいわれ、(ここで挙げたものの中で)後天的に獲得することが最も難しい要素かもしれません。

上記のようないろいろな要素の中から、カメラマンはどの要素に特化して写真を撮っていくかということを戦略的に考えることによって、自らのオリジナリティーを打ち出していかなければならないでしょう。

コミュニケーション力に磨きをかけたカメラマンならば、ほかの人に真似ができないような表情をモデルさんから引き出すことができるでしょうし、ポストプロダクション能力に長けたカメラマンならば、絵画のように幻想的な風合いに写真を仕上げることも可能でしょう。理工系のカメラマンなら、撮影機材そのものを改造して誰にも撮れない写真を量産することもできるかもしれません。

インターネットでだれもが情報を手に入れることが可能となった現在、少しくらいの変わった写真では、すぐにだれでも真似することが可能です。

情報が瞬時に伝達されるデジタル化した環境の中でオリジナリティーを見つけていくのは(カメラマンに限らず)とても難しいことだと思いますが、自分の得意な要素に特化してそれを意識的に補強・増強していくことが重要なのではないかと思います。そして一つの要素でよいので、それを簡単には真似されないレベルまでもっていくことが、オリジナリティーを獲得する近道ではないでしょうか。