AdobeのGenerative AI(ベータ版)を使っていくつか「写真」を生成してみました。アドビのサブスクリプションのコンプリート版を使っている人なら今すぐ使用可能です。Adobe Express (beta)を開いて「生成AI」のテキストスペースに、作りたい画像のテキスト(英語)を打ち込めば簡単に複数の画像が生成されます。まだベータ版なので対象物によって得意不得意があるようですが、ストックフォトでよく目にする非人物の写真素材はかなり精度がよいように感じました。
例えば、「Japanese food」と打ち込めば、以下のようなシズル感のある鮮やかなサーモンの刺身のクローズアップ画像が生成されました。ワサビの表面のテクスチャーやワサビの上部の割れ方、下に敷かれている大根の千切りの質感がおかしいですが、メインのサーモンの刺身はとてもきれいに整って写っています。
別の食べ物の例では、「Hamburger」と打ち込むと、以下のようなスーパーリアリズム絵画のように美しいハンバーガーのクローズアップが生成されます。陰影の具合もよいですし。トマトがこげていなければ、そして上のバンズが水平ならばもっとよかったかもしれません。チーズの溶け方はよいと思いますが、よく見ると四角形のチーズではないようです。何角形のチーズなのでしょうか?あるいは正方形のチーズが複数枚乗っているのでしょうか?
さらに、よりストックフォト的な構図で、「ingredient of many vegetables with copy space」と打ち込むと、以下のような真ん中にコピースペースを作った典型的なストックフォト的な画像がすぐに生成されます。
ナスの表面にしわがある点や、右上のトマトの輪郭に切り抜いたような白い淵が残っている点、マッシュ―ルームが隣のパプリカやキャベツに比べて大きい点、あるいは大理石風のプレートが汚れたように見えることなどの気になる点はあると思いますが、より小さなサイズでブログやSNSに使う分にはなんとか使用可能かもしれません。
一方、人物を対象とした生成に関しては、現時点ではまだ改良の余地が多く残されているように見えました。目の形や手、指の形が明らかにおかしかったり、頭部や顔の輪郭が歪んで生成されてしまう割合が非常に高いようです。何度も生成を繰り返すとなんとかよい感じの画像が作られます。打ち込むテキストをより厳選すればもっとよい確率が期待できるのかもしれません。ただ、手の指の形に関しては(AdobeのAIだけでなく)人物の生成AIで評判の良いMidjourneyや他のAIでも、まだなかなか満足のいく結果が得られていないようです。
以下は、上手くいった人物の生成を挙げておきます。
「Portrait of Asian young woman」
「Asian young adult businessman working at office」
(シャツの真ん中の布や指先の変形、背後の本棚の左が斜めになっている点が気になりますが)
まだ完全ではないとしても、ここまでのAIの進化を目の当たりにすると、ストックフォトビジネスに関わる会社やクリエイターの将来がどのようになるのか不安になってしまいます。写真やグラフィック、アニメ、3D画像などの生成は、数年もしないうちにさらに使用に耐えうるものへと改良されていくことは明らかです。その時にストックフォトビジネスはどのような形で存在することが可能なのかということについて見極めていく必要があるかもしれません。