事件は現場で起きているそうですが、ストックフォトは机の上(会議室)で起きています。
ストックフォトの撮影は何から何までカメラマンが行う必要があります。
依頼撮影ならクライアントのオファーに従って撮影だけに集中することも可能ですが、ストックフォトがそれと決定的に違う点は、企画全体をカメラマン自身で行わなければならないことです。
依頼撮影では撮影力がすべてだったカメラマンも、ストックフォトでは企画力が試されます。
現場主義一辺倒のカメラマンはストックフォト向きではないかもしれません。
企画に50%の力しか注がずに現場で全力(100%の力)で臨むカメラマンよりも、現場に行く前の企画段階に100%の力を注ぎ、現場では50%の力で撮るカメラマンの方がストックフォトには向いていると思います。
では具体的に企画とは何でしょう?
企画とは、事務的な伝達事項、例えば、何時にどこに集合し、何時間撮影し、衣装はどれにして、どのようなイメージを撮影するかということをモデルさんはじめ撮影に関わる人たちに知らせることにとどまりません。なぜカメラマン(=企画者)はこのテーマで撮影したいのか、このイメージを撮影する意義はどこにあるのか、という撮影の趣旨と企画意図をわかりやすくモデルさん等に提示することによって、カメラマン(企画者)の意図を関係者全員に共感してもらうところまでが企画だと思います。
企画者の意図が事前に伝わっていれば、撮影は圧倒的に行いやすくなりますし、現場ではカメラマンは全力を注がずとも、ほんの少しモデルさんに示唆するだけでモデルさんは多くのことを理解してくれます。
ストックフォトは現場に行く前に、すでに机の上(企画)で出来上がっていなければならないのです!
もちろん、現場では予期しないことが少なからず起こります。そうした時には企画に固執せず、ジャズのように臨機応変にアレンジしながら変化を楽しむことも必要となるでしょう。ただ、テーマとなるメロディーがなければ、アレンジして変化を楽しむこともできないのです。