幸運の女神には前髪しかない
この言葉の出典には諸説あるようですが、レオナルド・ダ・ヴィンチが(ギリシャ神話をもとに)言った言葉で、マキャベリが『君主論』の中で引用して有名になった言葉として知られています。
幸運の女神が前からやって来て、自分の横を通り過ぎて行ってしまったら、もう振り返っても女神をつかまえることはできない。
なぜなら、幸運の女神には前髪だけしかなく、後ろ髪を引っ張って振り向かせることはできないからだ。
ということをこの言葉は意味しています。
日本語でもこれとよく似た言葉が思い浮かびます。
「一期一会」と似ているかもしれません。
そして写真を撮るということは、幸運の女神にせよ、一期一会にせよ、一回限りの瞬間を大切に切り取る作業に他ならないとつくづく感じます。
スタジオにこもって(撮り直しが効く)物撮りをやっているときにはあまり意識しませんでしたが、とりわけこの数年ストックフォトで人物を多く撮るようになって、一回しか訪れない好機のシャッターチャンスの重要性に改めて気づかされます。
走り去っていく子供の笑顔は撮り直すことはできません。
これは何もシャッターを押すということに限らず、人との出会いや仕事の選択(仕事を引き受けるかどうか)においても同じでしょう。
日々何人もの人や仕事と出会う中で、もしかしたら幾人もの幸運の女神に気づかずにすれ違い、チャンスを逃してしまっているのかもしれません。
それでも何らかの巡りあわせによって一緒に仕事をする機会を得た人々は、すべて幸運の女神(男神)だと感じます。
人との出会いも仕事との出会いもすべて、撮り直しは利きません。
撮り直しが利かないので、後悔しないように全力で取り組むしかないのです。