ストックフォトにおけるリサーチの必要性

ストックフォトグラファーと研究者は似ているかもしれません。

研究者は研究論文を書く前に必ず(これから書こうとする論文と同じテーマで過去に書かれた)先行研究を念入りに調査しなければなりませんが、ストックフォトグラファーもそれと同じで、撮影する前には、これから撮影しようとするテーマで、誰がどのような写真(ストックフォト)を撮影しているかをリサーチしなければならないでしょう。

(研究者にとって)先行研究の調査が必要な理由は、過去に書かれた論文と、自分がこれから書こうとする論文の違いを明確にして、自分の独自性をはっきりと主張するためですが、ストックフォトグラファーにとっても同様に、先行撮影を調べれば、これまでの撮影で不足している点やこれから撮るべきことがより明確になってくることでしょう。

もちろん、研究においても撮影においても、完全な(100%の)オリジナリティーを見つけ出すことは至難の業だと思いますが、先行研究との違いが少し(何割か)でもあれば、それは書くべき論文として認められるでしょうし、撮るべき写真として認められるでしょう。

先行の撮影者と同じテーマで撮影したとしても、構図が異なるとか、光の扱い方が違うとか、モデルさんの表情や表現、ロケーションの雰囲気が(先行の撮影とは)違っているというような要素があれば、そこに一定のオリジナリティーを主張できる写真になると思います。そして、ストックフォトの場合(先行の写真と後行の写真)どちらの写真が優れているかを決めるのは購入者ということになるでしょう。

研究論文の場合は、先行研究とほとんど同じ内容で論文を書いても全く評価されませんが、ストックフォトの場合は過去に撮りつくされている構図やテーマで撮影したとしても全く売れないということはないと思いますが、すでに多くの枚数が流通しているので、同じような撮影をしても効率が非常に悪くなってしまいます。

先行撮影の調査を行えば、すでにこのテーマで、このカメラマンが撮影しているから、自分は別のテーマの撮影をしようと思ったり、このテーマであのカメラマンが撮影しているけれど、枚数的にも内容的にもまだまだ不十分な点があるとわかれば、同じテーマでももっと違った撮り方で撮ってみようと思ったり、撮るか撮らないか、撮るならどのように撮るか、という方向性が見えてきます。

主体的に自分からテーマを見つけて撮影するストックフフォトグラファーにとっては、(研究論文の執筆と同じように)何をどのように撮るか(書くか)を決めるために、これまでにどのような撮影がなされてきたかを調べることは必須の作業と言えると思います。

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