ストックフォト販売会社のPixtaがAI生成素材の販売を2026年5月22日以降全面的に停止します。同社は、AI生成素材の大量流入により検索体験が悪化し、購入者が求める素材を探しにくくなっていたことを理由に、AI生成素材の取り扱いをすべて停止します 。ユーザー調査の結果、「人が撮影・制作したコンテンツを求める声が強かった」ことが大きな理由のようです(参照) 。
これにより、今後の日本市場は次のように分かれることになります:
PIXTAの判断は、人間が撮影した素材の価値が再評価されていることを示しています 。そのため、実写カメラマンやイラストレーターにとっては、競争相手となるAI素材が大量に減るため、販売機会が少し増える可能性もあります。
一方でAI生成素材で収益化していたクリエイターは、Adobe Stockやイメージマート、海外のAI容認サイトへ移動することになります。これによって、他社プラットフォームのAI素材比率が一時的に増える可能性もあり、Adobe StockなどではAI素材の競争がさらに激化するかもしれません。
PIXTAがAI素材を停止した理由のひとつに、大量のAI素材で検索体験が悪化した、という大きな問題があります 。AI素材は似た構図・似た人物・似た背景が大量に生成されるため、購入者が欲しい素材を探しにくくなるという課題がありました。大量のAI素材が消えることで、検索結果のノイズが減って購入者が素材を探しやすくなり、その結果、購入者の満足度が上がるという効果が期待できます。
今回のPixtaのこの決断の背景には、ユーザーがストックフォトを検索する際に、実写の素材とAI素材が一緒に検索・表示されてしまうことによるいわば「検索疲れ」がありました。実写を探しているのにAIが大量に出てくるので結局どれが本物でどれがAIか判別しづらいという「ノイズ」が大量に発生します。現状ではAI素材に対する(権利関係等を含めた)信頼度は実写素材よりも低いので、実写を探す人にとっては、AI素材が混ざることは好ましくありません。
AI画像は一見リアルでも、細部に違和感が出ることがあります。影の落ち方や建物の構造、日本の街並みの嘘っぽさなどのリアルさにおいての違和感です。こうしたAI素材はウェブ広告の小さなサイズで用いるならばほとんど問題ないと思いますが、大きなサイズの広告に使うには少し怖いと感じるデザイナーや広告制作者は少なくありません。広告素材が少しでも見る人に違和感を感じさせると、商品そのものへの信頼度が揺らいでしまいます。AI素材の肖像権等の権利関係にリスクを感じる企業担当者も実写を好む傾向があります。総じて、現状においては、実写とAIが同時に検索されて同じ画面に表示されることはユーザビリティーにとってはあまり有益ではないのです。
ユーザビリティ―を高めるためには、AI素材は別のAI素材専門のサイトで販売したり、実写素材とは別の規約で販売する方が良いかもしれません。