この画像は生成AIで作成しました
最近、「この画像は生成AIで作成しました」と記された画像がネット記事の挿絵やネット上の広告に使われているのを目にすることが多くなりました。
ストックフォトを使わずに、自らAIで画像を生成し、記事や広告に使用する人々が増加しているようです。
正確な数字は分かりませんが、一説によると、SNS用ビジュアルの約4割、webサイト用の画像の3~4割がAIで生成されているという見方もあります。
もし今後さらにAI画像の使用が高まるとすると、従来のストックフォトはどうなるのでしょうか?
この記事では急速に広まる生成AI画像と従来のストックフォトの未来について考えてみたいと思います。
長年、ストックフォトは広告・出版・Web制作の現場を支えてきました。プロのカメラマンが撮影した高品質な写真を、必要なときにすぐ入手できるという利便性は、制作のスピードと安定性を大きく向上させてきました。特に、ライセンスが明確で法的リスクが低いという点は、企業にとって欠かせない安心材料です。
しかし、ストックフォトには誰でも使えるという利点がありますが、ビジュアルが他社と重複しやすい、「どこかで見たことのある写真」になりやすい、つまりオリジナルや独創性の弱さという課題もあります。また、膨大な画像の中から理想の一枚を探す手間や時間もかかります。
一方で、テキスト(プロンプト)を入力するだけで、ユーザーの意図に沿ったオリジナル画像を瞬時に作り出すことができる生成AIは、急速に存在感を増しています。実写のストックフォトでは見つからないような構図や世界観をその場で作れるという点は、従来の制作フローを根本から変えるほどのインパクトがあるといえます。特に、抽象的な背景、コンセプトアート、架空の都市や人物など、実写では撮影できない領域ではAIが圧倒的な強さを発揮しています。
しかし、生成AI画像にも課題は残っています。プロンプトの入力の仕方によっては生成を何度もやり直す必要があったり、思い通りの絵を正確に生成することはテーマによっては難しい場合もあります。また、AIが学習に使用したデータに著作物が含まれている可能性があるため、著作権や倫理の議論は続いています。さらに、AIが学習したデータの偏り(人種や男女比等)がそのまま画像に反映されるなど、文化的・社会的なバイアスの問題も指摘されています。
では、それぞれ利点や課題を持つストックフォトと生成AI画像は、実際どのような基準で企業やデザイナーから選択され、使い分けされているのでしょうか?この点について触れてみたいと思います。
生成AI画像が急速に普及している背景には、単に新しい技術だからという理由ではなく、企業やデザイナーが抱える現実的な課題を解決する力があるからだといえます。特に、広告・SNSマーケティング・EC・Web制作の領域では、AIは従来のストックフォトや撮影では実現できなかった価値を提供し始めています。
まず、AIが選ばれる最大の理由には自由度の高さが挙げられます。ストックフォトは完成された画像を選ぶ仕組みであるため、クリエイターは既存の選択肢の中から最も近いものを探すしかありません。しかしAIは、テキスト入力だけで、必要な構図・雰囲気・色調・世界観をゼロから生成できます。この点で、AIはストックフォトが抱える「欲しいものが見つからない」という問題を根本から解決し得るのです。
また、AIは差別化の手段としても注目されています。ストックフォトは多くの企業が同じ素材を使うため、どうしても「どこかで見たようなビジュアル」になりがちですが、AIで生成した画像はその都度(プロンプトの入力に応じて)オンデマンド的に生成されるため、独自のイメージを表現しやすく、競合との差別化につながります。特にインターネット上の広告では、ユーザーの目を引くために他と違うビジュアルが求められるため、他との差別化は大きな武器になります。
生成AI画像の台頭は、クリエイティブ業界に新しい可能性をもたらす一方で、これまでのストックフォトには存在しなかった複雑な倫理的・法的問題を浮き彫りにしています。特に大きな論点となっているのが「著作権」と「所有権」、そして「AIが社会に与える影響」という三つの領域です。
まず、著作権の問題はAI時代の中心的な課題です。AIは膨大なデータを学習して画像を生成しますが、そのデータの中には著作権で保護された作品が含まれている可能性があります。AIが生成した画像が既存の作品に似てしまうケースもあり、どこまでが偶然の類似で、どこからが著作権侵害なのかという線引きが曖昧なままです。さらに、AIが生成した画像の著作権が誰に帰属するのかという問題も未解決で、AI開発者なのか、プロンプトを入力したユーザーなのか、あるいは誰にも帰属しないのかという議論が続いています。(なお、現在ストックフォト会社で販売されているAI画像は上記の点に関して問題があった場合に各会社で独自の保障をしています。)
これに対して、ストックフォトは法的な透明性が高く、ライセンス体系が明確に整備されています。カメラマンが撮影し、モデルリリースやプロパティーリリースの権利関係が整理されたうえで販売されるため、利用者は安心して商用利用できます。企業にとっては、法務リスクを最小限に抑えられる点が非常に重要であり、生成AI画像がどれほど便利になっても、実写ストックが依然として信頼される理由のひとつです。
倫理的な側面でもAIは課題を抱えています。AIは学習データに含まれる偏りをそのまま反映してしまうため、人種・性別・文化に関するバイアスが生成物に現れることがあります。これは広告や公共キャンペーンのように社会的影響力の大きい領域では特に問題視され、企業がAI画像を採用する際の慎重さにつながっています。
また、AI生成のプロセスは膨大な計算資源を必要とし、そのエネルギー消費が「環境負荷」につながるという指摘も増えています。特に「エコロジー」をブランドイメージに据えている企業では、こうした「AIと環境負荷」の問題からAI画像が使いにくくなるでしょう。企業のクリエイティブ制作が環境問題と結びつくという新しい視点は、AI時代ならではの課題かもしれません。
このように両者の特徴をみると、今後の両者の関係はストックフォトかAIかという「二項対立」よりも、AI画像と実写それぞれの利点や課題を比べたうえで、利用者が目的に応じて最適な手段を選ぶ、「相互補完的な選択」になっていくと思われます。法的なリスク回避が特に求められる領域ではストックフォトが引き続き重要な役割を果たし、自由度、オリジナリティが求められる領域ではAI生成が主流になるでしょう。
さらに、最近の企業やデザイナーの制作現場では、ストックフォトとAIを組み合わせたハイブリッドな制作手法も急速に広がっています。例えば、ストックフォトの人物写真にAI生成の背景を合成したり、実写の質感を残しつつAIで色調や構図を調整したりと、双方の強みを掛け合わせることで、制作コストを抑えながら独自性の高いビジュアルを作ることが可能になります。こうしたハイブリッドな制作の増加によって、AIとストックフォトは相互補完的に協調し合いながらそれぞれの価値を拡張していく関係が強まることになるでしょう。
企業やデザイナーはじめ、ストックフォトやAI画像の利用者が求めるのは、効率的で、リスクが低く、成果につながるビジュアルです。AIとストックフォトは、その目的に応じて使い分けられるツールとして共存し、クリエイティブ制作の分野をこれまで以上に多様で柔軟なものへと進化させていくことが期待されます。
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